稲庭うどん屋で熊と猪!?たむら屋の極柔ジビエ煮込み&兼子商店の爆安産直巡り

小安峡大噴湯の急階段を往復し、42.3度の熱めな足湯「あぐりの湯」で酷使した足を癒やした前回の続きです。
時刻は11時半を過ぎ、そろそろ昼食の算段を立てる時間帯。当初は目的地である須川温泉まで登りきってから昼食にする腹積もりでしたが、紅葉見頃を迎えた週末の山上が無傷で済むはずがありません。混雑に巻き込まれて昼飯難民になるリスクを避けるため、ここ小安峡大噴湯で食事を済ませてから山へ挑むことにしました。
まずは胃袋を落ち着かせる前に、大人の知的好奇心をくすぐる周辺のディープな産直・物産館を覗いてみます。
温泉地熱の知恵と巨大黒茸!「あぐり館みなせ」&「観光物産館」の寄り道
大噴湯の駐車場周辺には、旅のアンテナをビンビンに刺激する立ち寄りスポットが点在しています。

(山あいに佇む産直施設「あぐり館みなせ」)


(思わず二度見した、地元産「黒茸」の規格外なサイズと3,000円の値札)
まず立ち寄ったのが「あぐり館みなせ」。店内に足を踏み入れると、採れたての新鮮野菜に混ざって、とんでもない存在感を放つ物体が目に飛び込んできました。秋田県湯沢市皆瀬産の「黒茸(クロカワ)」。パックからはみ出さんばかりの巨大さで、価格は堂々の3,000円。山の恵みの奥深さをいきなり見せつけられます。

(産直野菜が並ぶ)

(小安温泉郷の温泉地熱で乾燥した野菜や山菜たち)

(クッキーやパイなどの手作り感あふれる洋菓子たち)

(笑顔のポップが語る、小安峡ならではの「地熱乾燥」の知恵)

ふと入口扉のガラスを見ると、「ここの乾燥野菜・果物はすべて小安峡の温泉地熱で乾燥しています」というポップが掲げられていました。切り干し大根や菊芋、ぜんまいなどが並び、地球の熱エネルギーを暮らしと食に生かす湯沢ジオパークならではの暮らしの知恵に深く唸らされます。

[画像: IMG20261003110036.jpg] (リスのマークが目印のとことん山 観光物産館)

(手作りの焼き餅やジェラートが並ぶ窓口メニュー)

お隣の「とことん山 観光物産館」にも立ち寄ってみると、こちらはお土産品や軽食が充実。手作りの焼き餅やジェラートなどのメニューが並び、ドライブの糖分補給にも良さそうな雰囲気です。小安峡周辺の施設はどこも温かい手作り感に溢れていて、歩いているだけで実に心地よい時間が流れています。
さて、足腰の疲れも抜け、お腹もしっかり空いてきました。いよいよ本日のランチ処へ向かいます。
稲庭うどん屋で熊と猪!?「たむら屋」で出会った想定外の極上ジビエ


向かったのは、大噴湯のすぐ向かい、とことん山キャンプ場入口に店を構える「お食事処 稲庭うどん たむら屋」です。

(街道沿いに掲げられた「稲庭うどん」の大きな幟と紺の暖簾)
12時前の到着だったので、幸いにもまだ激しい混雑は見られず、どうにかテーブル席へ座ることができました。

(壁一面に貼られたバスの写真と漫画本。昭和のドライブインを思わせる落ち着く店内)


店内を見渡すと、壁一面にびっしりと貼られた観光バスの写真やぎっしり詰まった漫画本棚。昭和の街道沿いドライブインのようなノスタルジックな空気が漂っており、この手の雰囲気に滅法弱い中高年としては、座っただけで肩の力が抜けていきます。



テーブルに置かれたお品書きを開き、まずは定番を注文することに。同行者は「とろろめし稲庭うどんセット(1,200円)」を2つ、温かい「稲庭うどん(1,000円)」を1つ。そして私は「豚丼(900円)」をお願いしました。
しかし、注文を終えて入店から気になっていた小上がり側の短冊メニューがどうしてもロックオンされて離れません。

(小上がり側の上に堂々と並ぶ「猪煮込」「くま煮込」の赤短冊)
「猪煮込 700円」 「くま煮込 700円」
……稲庭うどん屋で熊と猪が食べられるのか!? 観光客向けの気取ったジビエ料理店ならいざ知らず、街道沿いの素朴な稲庭うどん処で、手書きの赤短冊に「猪」「くま」と並んでいるギャップに猛烈に惹かれてしまいます。「やはり、これは頼まないわけにはいかない」と、即座に追加オーダーを入れました。
臭みゼロ&炭火香る肉の旨味!実食レポート
しばらくして、お盆に乗った料理が運ばれてきました。

(とろろめし稲庭うどんセット。丼になみなみと注がれたとろろの存在感)


まずは同行者の「とろろめし稲庭うどんセット」。 目を引くのは、丼に注がれたとろろの量です。「これ、ご飯が足りなくなるのでは?」と心配になるほどたっぷりと盛られています。出汁の利いたとろろを少し分けてもらって口に運ぶと、キメ細やかな舌触りと山芋の力強い風味が広がり、「う〜ん、やっぱり美味い!」と声が漏れます。

(小鉢の「みずの実」の漬物。秋の秋田を象徴する名脇役)
そして、膳の真ん中に添えられた小鉢の「みずの実」の漬物。シャキシャキとろりとした心地よい歯触りと独特のぬめり、程よい塩気が絶妙なアクセントになっており、定食全体の完成度を一段引き上げています。

(艶やかなタレが食欲を刺激する豚丼。お味噌汁と煮物の小鉢付き)


(甘辛い秘伝ダレが米の奥深くまでしっかり染み込んでいます)
続いて私の「豚丼」。 丼の上には香ばしく炒められた豚バラ肉が敷き詰められ、白ごまが振られています。箸で持ち上げると、肉の厚みも申し分なし。特筆すべきはそのタレで、豚肉だけでなく下のご飯の一粒一粒にまでしっかりと甘辛いタレが染み渡っています。「これ、タレがかかったご飯だけでも何杯でもいけるやつだ」と、無心でかき込んでしまいました。小鉢の里芋と舞茸の煮物も味が染み入っていて、田舎の温かさが胃袋に染み渡ります。
そして、いよいよ真打のジビエ煮込みです。

(じっくりと煮汁が染み込んだ、柔らかい猪肉と極太ゴボウの猪煮込)
まずは「猪煮込」を一切れ。 猪肉と聞くと硬さや独特の獣臭を想像しがちですが、口に入れて驚きました。繊維がほろりと解けるほど実に柔らかく、臭みなど微塵も感じられません。一緒に煮込まれたゴボウも芯まで柔らかく、相当な時間をかけて弱火でじっくり煮込まれた仕事の丁寧さが伝わってきます。

(炭火で炙ったかのような香ばしさが鼻腔を抜ける、絶品のくま煮込)
続いて見た目はほぼ一緒ですが「くま煮込」に箸を伸ばします。 こちらも熊肉特有の強いクセがまったくなく、驚くほど柔らかい。噛み締めると、まるで炭火で一度香ばしく焼き上げたかのようなスモーキーな風味がふわっと鼻を抜け、噛むほどに野性味あふれる上質な脂のコクが広がります。 「熊肉ってこんなに旨いものだったのか……」と、これまでのジビエ観が心地よく覆されました。混雑を避けてたむら屋に飛び込んだ自分の直感に、心の中で拍手を送った次第です。

(タレ一滴、米粒一つ残さずきれいに完食)
大満足で箸を置き、綺麗に完食。ごちそうさまでした。
向かいの「兼子商店」で大粒みずの実220円を爆買い!

大満足で店を出た後は、すぐ道路の向かいにある「兼子商店」へ立ち寄りました。

(店舗向かって左奥の休憩スペースから、右手の断崖奥にズームして捉えた一本の滝)
このお店の奥には吹き抜けで外を眺められる休憩スペースがあり、外に目をやると、右手の切り立った深い谷の奥に、白く美しい一本の滝が流れ落ちているのが見えます。レンズをグッと引いてズーム撮影。食事の後にこんな隠れた絶景に出会えるのも、小安峡ならではの贅沢です。

そして、店内のお土産・産直コーナーを物色していると、私の大好物と衝撃の再会を果たしました。

(段ボールに無造作に盛られた、ツヤツヤで大粒の「実のみず」)
段ボールの中に並んでいたのは、採れたての「実のみず(みずの実)」。 驚いたのはその粒の大きさと価格です。秋田市内のスーパーで見かけるものより丸々と太っている立派な大粒なのに、なんと1袋220円(税込)という破格の値札がついています。「嘘だろ!?」と二度見し、迷うことなく3袋を即座にカゴへ放り込みました。

(新鮮な長ねぎが1束110円。山の産直価格に思わず財布の紐が緩みます)

(青々としたみずみずしいセロリも100円の安さ)




ほかにも、泥付きの太い長ねぎが110円、シャキッとしたセロリが100円、なんばん(赤唐辛子)が120円と、地場野菜が笑ってしまうほど安い。さらに寛文五年堂の徳用稲庭うどん2kg(1,188円)や、昔懐かしい秋田の鉱山のデッドストック鉱石が並んでいたりと、大人の好奇心とお買い物欲を存分に満たしてくれました。

とことん山キャンプ場はどんなものかと少し覗いて見ましたが、結構思ったより利用客が居る!なかなかの人気ぶりがうかがえる。テントサイトにバンガロー、コテージ、ツリーハウスを備え、24時間露天風呂も完備!手ぶらキャンプも可能で、露天風呂は日帰り入浴も可能!アウトドア派ならコチラも良さそうですね!
温泉街を抜け、急激に冷え込む「須川湖」へ
兼子商店を出て車に乗り込み、車窓から小安峡の温泉街を眺めながら先を急ぎます。 全国的に廃業や休業に追い込まれる温泉宿が増えている昨今ですが、ここ小安峡温泉は複数の旅館が暖簾を掲げ、元気に営業を続けている様子が伺えます。「やっぱり活気のある温泉街はいいものだな。今度はゆっくり一泊しに来よう」と心に留めつつ、車はいよいよ須川温泉へと続く登り坂へ突入しました。
峠道を登る途中、景勝地として知られる「須川湖」の駐車場に立ち寄ってみることにします。

(木々の向こうに静まり返る須川湖。立ち込める雲が寒々しさを際立たせます)
車を降りて湖を眺めようと歩み寄りましたが、周囲には鬱蒼と木々が茂っており、視界が遮られて湖の全景をパノラマで見渡すことは叶いませんでした。 しかし、それ以上に身体を直撃したのが「空気の冷たさ」です。
「……寒い! 寒すぎる!」
小安峡の谷底にいた時とは別世界。標高が一気に上がったことに加え、空を覆う厚い雨雲のせいで、体感温度は一気に真冬のそれに近づいていました。車から長袖の上着を引っ張り出して羽織り、前をしっかりと閉めましたが、それでも冷気が生地を通り抜けて肌を刺してきます。


(湖畔のキャンプ場へと続く小道。厚着をしていないと長居は禁物です)
ふと見ると、須川湖のキャンプ場を利用しているキャンパーたちの姿が結構見えました。「これ、朝夕の冷え込み対策は大丈夫なのだろうか……」と他人事ながら心配になってしまうほどの寒風です。平地の秋気分で山へ上がってくると痛い目を見る――山の天気の厳しさを肌で痛感する瞬間でした。
冷たい風に背中を押されるように車へ戻り、暖房を利かせてアクセルを踏み込みます。 凍えた身体が求めているのは、熱い熱い極上の温泉。いよいよ本日のクライマックス、秋田と岩手の県境に鎮座する秘湯「須川高原温泉」と「栗駒山荘」へ向かいます!
次回【須川知らぬは生涯の損】と言わしめられた最高の湯を堪能し紅葉色づく栗駒山を露天風呂から一望する絶景【神の絨毯】を脳裏に焼き付ける!至高の1日をお届けします!
(第3弾:須川温泉・2大名湯ハシゴ&仙人水編へ続く)
■ 施設基本情報&利用データまとめ
| 項目 | 詳細データ |
|---|---|
| 施設名・スポット名 | お食事処 稲庭うどん たむら屋 / 兼子商店 / 須川湖 |
| 所在地 | 秋田県湯沢市皆瀬字新処92-9(たむら屋) 秋田県湯沢市皆瀬字新処109-2(兼子商店) 秋田県雄勝郡東成瀬村椿川字仁郷山国有林(須川湖) |
| 営業時間・定休日 | 【たむら屋】11:00〜19:00(不定休・冬期休業あり) 【兼子商店】9:00〜15:00頃(不定休・冬期休業あり) 【須川湖】見学自由(11月上旬〜翌年春は冬期閉鎖) |
| 料金・メニュー価格 | ・豚丼:900円 ・猪煮込:700円 ・くま煮込:700円 ・とろろめし・稲庭うどんセット:1,200円 ・実のみず(兼子商店):220円(1袋) ・長ねぎ:110円 / セロリ:100円 |
| 駐車場・アクセス・路面状況 | 【たむら屋・兼子商店】店舗前および周辺の大噴湯公衆駐車場を利用可能。 【須川湖】県道282号沿いに無料駐車場あり。 ※小安峡から須川湖にかけては急勾配・ワインディングが続く。標高差により気温が急激に低下するため防寒着が必須。 |
■ 🎖️ さすらいG-3の総括スペック評価
| 評価項目 | 評価(★5点満点) | 寸評・リアルなポイント |
|---|---|---|
| ジビエ衝撃度 | ★★★★★ | 稲庭うどん処で出会う極上ジビエ。臭みゼロ・炭火香る熊と極柔猪は必食。 |
| 産直お宝発見度 | ★★★★★ | 兼子商店の大粒みずの実220円は破格。滝の景観や鉱石など知的好奇心も満点。 |
| 味・コスパ | ★★★★☆ | タレが染み渡る豚丼、たっぷりとろろ。観光地価格を感じさせない誠実な味。 |
| 気温急変サバイバル度 | ★★★★★ | 須川湖周辺は平地と別世界の極寒。防寒対策を怠ると震え上がること必至。 |
- 【総合満足度】:4.5 / 5.0
- 【一言総括パンチライン】:うどん屋の赤短冊に潜む熊と猪。観光地の表層を一枚めくった者だけが味わえる、秋田の底力。
■ 次回予告
【第3弾:須川温泉・2大名湯ハシゴ&仙人水編】 辿り着いた県境の秘湯・須川温泉で待っていたのは、満車寸前の大攻防戦! 間違えて大広間券を買ってしまったハプニングを乗り越え、いざpH2.2の超強酸性「大露天風呂」へ。雨と立ち込める湯気で視界ゼロ、寒さと熱湯が織りなす「ぬぐだまり」の極致を体感!さらに栗駒山荘の展望露天と、喉を潤す名水「仙人水」の実走レポートをお届けします。「須川知らぬは生涯の損」と言わしめられた最高の湯を堪能し【神の絨毯】を一望することは出来るのか!?――次回、堂々の完結編!
■ 連載リンクボックス
🚗 【秋田・岩手県境】紅葉の栗駒山と名湯ハシゴ旅!(全4回連載)
- ▷ 第1回:道の駅うごの熱気と小安峡大噴湯の地響き!絶景足湯と「そば食べ歩き券」ゲットの巻
- ▶ 第2回:たむら屋の絶品「猪&熊煮込」に驚愕!大粒みずの実爆買いと須川への道(本記事)
- ▷ 第3回:「須川知らぬは生涯の損」!須川高原温泉の巨大露天&栗駒山荘の絶景湯ハシゴ制覇
- ▷ 第4回:【羽後〜皆瀬〜須川温泉】紅葉と秘湯ハシゴの日帰り完全周遊ドライブ!総まとめ親記事



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